障害年金と障害者手帳

障害年金と障害者手帳は、それぞれの法律で規定されており別の制度です。申請窓口や審査機関も異なります。しかし、「手帳と年金の等級は同じである」「手帳がなければ年金の申請もできない」などと誤解されている方は結構いらっしゃいます。 障害者手帳は各地方自治体で交付しておりますので、詳しくはお住まいの市区町村にお問合わせください。


【障害者手帳】

障害者手帳は、病気や怪我によって日常生活に支障がある方に交付され、この手帳を提示すると交通機関での運賃が割引になったり、施設の入場料が割引になったりと、各種サービスが受けられます。障害者手帳には「身体障害者手帳」「精神障害者保険福祉手帳」「療育手帳」の3つの種類があります。

【障害年金】

障害年金は、上記と同じく病気や怪我によって日常生活に支障がある方に向けての支援制度で、老齢年金・遺族年金と並ぶ公的年金の一つです。年金保険料によって賄われているため、一定以上保険料を納付していなければもらうことができません。(20歳になる前に障害を負った方は例外です。)

  障害者手帳が無くても障害年金の申請は出来ますので、手帳を持っていないことを心配する必要はありません

1⃣身体障害者手帳(1級~7級)

病気やケガの結果、障害の程度や日常生活活動の支障により認定されます。等級は1級から7級まであり、6級以上だと手帳がもらえ、各種サービスが受けられます。*7級は複数の障害があると手帳がもらえます。

 

   よくある誤解

「身体障害者手帳が1級だから、障害年金も1級ですよね?」と、しばしば聞かれるのですが、単純にそうはなりません。別の制度ですから、それぞれ申請しなければなりませんし、認定基準も異なります。障害者手帳も障害年金も「1級、2級」と、等級の言い方が同じなので、このような誤解が生じてしまいます。単なる勘違いで済めばいいのですが、中には重大な誤解に発展してしまうことがあります。

例えば、人工弁の移植をすれば障害者手帳は1級ですが、障害年金は原則3級です。人工肛門(ストーマ)の造設をすると手帳は4級、年金は3級です。人工弁の移植をされた方は、手帳が1級ですから「障害年金は出るかな?」と、どこかへ相談されるかもしれません。しかし、人工肛門だと手帳が4級なので「障害年金は1~3級まで」ということを何かで知ってしまうと、「4級じゃ年金はダメか」と思ってしまって、どこにも相談せずにあきらめてしまうおそれがあります。

人工弁も人工肛門も、初診日が厚生年金または共済年金加入中で、65歳未満の方であれば障害年金3級の受給権が発生します(65歳以上でも発生する場合はあります)。初診日が国民年金加入中または年金未加入期間であっても、60~65歳未満の障害者特例が生かせるかもしれません。人工関節、人工骨頭だと手帳は4級以下ですが、年金は原則3級です。

このように、「手帳の等級が4級以下だと障害年金は出ない」と思い込んでしまったり、誰かから言われたりして、どこにも相談されていない人も多いのではないかと思います。 原則、障害年金は65歳になる前に請求することになっておりますが、例外もありますので、お早めにご相談されることをお勧めします。

  
 
平成26年4月に身体障害者手帳の障害認定基準が改正になりました

ペースメーカーやICD(植込み型除細動器)は、改正前は一律1級だったのが、改正後はペースメーカー等の依存度や日常生活の制限の程度において、1級・3級・4級のいずれかに認定されることになりました。先天性疾患(18歳未満で心疾患を発症した方)により体内に入れた方、人工弁移植、弁置換を行った方は従来通り1級です。

人工関節(人工骨頭)の認定基準も改正になり、術後の安定した時点での関節可動域等に応じて認定することになりました。・股関節・膝関節は、(改正前)4級 ⇒ (改正後)4級・5級・7級・非該当のいずれか。・足関節は、(改正前)5級 ⇒ (改正後)5級・6級・7級・非該当のいずれか。 障害年金も医学薬学の進歩により認定基準は随時改正されますが、平成28年3月現在、ペースメーカー・ICD・人工弁・人工関節・人工骨頭は原則3級です。(症状によっては2級になる場合もあります。)

2⃣精神障害者保健福祉手帳(1~3級)

何らかの精神疾患(てんかん、発達障害を含みます)により、長期にわたって日常生活または社会生活への制約がある方が対象となり、一定の障害があることを証明するものです。手帳を持っていることにより様々な支援を受けることができますので、精神障害を持つ方が自立して生活し、社会参加の促進をはかることを目的としています。ただし、知的障害があり精神疾患が無い方については療育手帳の対象になりますので、精神障害者手帳の対象とはなりません。知的障害と精神疾患を両方有する方は、両方の手帳を申請することができます。

 

申請は精神障害に係る初診日から6ヵ月を経過してからです。途中で病名が変わったり転院があっても、因果関係があれば通算できますので、診断書を書く医師にご相談ください。診断書に初診日を書く欄がありますので、その日から6ヵ月を経過していれば申請可能です。 等級は1~3級まであります。

身体障害者手帳とは違い、精神障害者手帳の1~2級は障害年金とほぼ同じ基準とされており、3級は障害年金より対象が広くなっています。そのため、障害年金を申請するにあたって、精神障害者手帳の等級は「ある程度」参考になりますが、必ずイコールになるわけではありません。

  

  精神障害者手帳は診断書なしで障害年金の等級に合わせてくれる

障害年金を申請する方で精神障害者手帳をまだお持ちでない方は、障害年金の決定を待ってからであれば手帳用の診断書が不要(診断書代の節約)になります。ただ、障害年金が決定すれば自動的に手帳が届くわけではなく、手帳の申請は必要です。その時、障害年金証書の添付を求められます。(タテ4㎝×ヨコ3㎝の写真も必要になります)

  

精神障害で障害年金(特別障害給付金を含む)の支給が決定された後に精神障害者手帳取得の手続きをすれば、同じ等級の手帳がもらえます。しかし、これとは逆にすでに精神障害者手帳を持っているからといって、同じ等級で障害年金の支給が決定されるわけではありません。あくまでも、障害年金は障害年金用の診断書を日本年金機構へ提出して審査を受ける必要があります。その結果、手帳とは違う等級で決定される可能性はあります。

 

精神障害者手帳の有効期間は2年で、期限が切れる3ヵ月前から更新手続きができます。同時に、自立支援医療受給者証(医療費の自己負担割合が、通常3割のところ原則1割に軽減される制度)の申請を行うこともできます。

  

精神障害者手帳の更新時にも年金証書を添付すれば、診断書の添付を省略することが出来ます。これに対して、自立支援医療受給者証の更新手続は毎年必要ですが、2年に1度診断書の添付が求められます。

 

このとき、年金証書を診断書の代わりに使用することは出来ません。つまり、「手帳は年金証書で更新できる」が、「自立支援は2年に1度診断書が必要」ということです。

 

 3⃣療育手帳(等級の区分は各自治体により異なります)

知的障害のある方が一貫した教育・援護を受け、さまざまなサービスや優遇措置を受けやすくすることを目的としたものです。 岡山市では、障害の程度に応じてA(最重度・重度)・B(中・軽度)の区分があります。 療育手帳をお持ちの方は療育指導や、在宅サービス・施設サービス(通所・入所)などを利用できます。

【申請場所】  ●こども総合相談所の判定(18歳未満の方)  ●障害者更生相談所の判定(18歳以上の方)

 

 知的障害(精神遅滞)で障害基礎年金を申請する場合

知的障害で障害年金を申請するには、早くても20歳になってからになります。障害年金は初診日が重要ですが、先天性の知的障害の初診日は出生時とされておりますので、初診日証明(受診状況等証明書)は不要です。20歳の誕生日前日を「満20歳」とみなしますので、その日が障害認定日になります。そこで申請する場合は、障害認定日の前後3ヵ月以内の症状が書かれた診断書が必要です。

申請窓口は市区町村の国民年金担当窓口といわれておりますが、年金事務所でも構いません。全国どこの年金事務所でも受け付けてくれますが、年金事務所で手続きする場合は請求者の所得証明書(課税または非課税証明書)が必要になります。これに対して、住所地の役所で手続きをする場合、役所で請求者の所得が確認できれば、同意書を書くだけで所得証明書は不要になります。

傷病手当金と障害年金との調整

健康保険に加入中に病気やケガをして会社を連続3日以上休んだ場合(無給)には、それ以降、傷病手当金という給付金を受けることができます。ただし、傷病手当金は原則、障害年金と同時に受給すると調整されるので、障害年金を請求するときは注意が必要です。

  

傷病手当金と障害厚生年金

 同一疾病の場合

 障害厚生年金 全額支給 傷病手当金 全額支給停止

 ※ただし、障害厚生年金の方が傷病手当金より少ない場合は、傷病手当金の差額が支払われます。

 別疾病の場合

 障害厚生年金 全額支給  傷病手当金  全額支給

  

傷病手当金と障害基礎年金 

 同一疾病の場合

 障害基礎年金受給者が入社後、同一の病気が悪化して休業した場合 傷病手当金は受給可能

 別疾病の場合

 障害基礎年金 全額支給  傷病手当金  全額支給

  

傷病手当金と障害手当金

 同一疾病の場合

 傷病手当金が障害手当金と同額に達するまで、傷病手当金は支給停止になります。

別疾病の場合

 傷病手当金、障害手当金両方が受給できます。

【注意】

傷病手当金を受給した後に、障害年金の遡及日請求(過去に遡って請求すること)をすると、障害年金と傷病手当金を同時に受給したことになり、傷病手当金の返還(重複した期間についてのみ)を求められますので、注意が必要です。 

退職と障害年金

障害年金は、初診日にどの年金制度に加入していたかによって、適用される給付が異なります 

厚生年金の被保険者である間に初診日がある場合は、障害等級3級以上に該当すれば年金が受給できます。3級」というのは、働くことに著しい制限を受けるような状態です。
傷病が治って、3級より少し軽めの障害が残って働くことに制限を受ける状態の場合は、「障害手当金」という一時金もあります。一方、会社を辞めてからお医者さんにかかった場合は国民年金だけなので、2級以上に該当してはじめて障害基礎年金が受給できます。
2」というのは、家庭内での軽い活動はできるが日常生活に著しい制限を受ける程度の障害で、働いて収入を得ることはできない状態です。
障害厚生年金を受けられる人が2級以上に該当すると、国民年金の障害基礎年金も上乗せして受給できます。
たとえば 「うつ病で働くのは難しいけど日常生活で大きな支障があるとまでは言えない」

という状態で3級該当の場合には、厚生年金なら年金が受給できますが、退職後の受診で国民年金であれば不支給となってしまいます。

 

退職後に病状が悪化しても「障害厚生年金」を受給できる

在職時に受診して、16か月後の障害認定日には症状が軽かった場合でも、数年後に悪化して障害年金を請求するような状態になったときに「事後重症の障害年金」を請求できます。

このとき、すでに退職していて厚生年金の被保険者ではなくなっていても、初診日において厚生年金の被保険者であったなら、「事後重症の障害厚生年金」として請求できます

  

初診時の病名と請求時の病名は違っていても関連性があればよい

障害年金を請求するときにかかっている病院の前に受診したクリニックがあって、診断名は違っていても関連性が認められる場合には、先に受診したクリニックに初めてかかった日が、障害年金を請求する際の「初診日」となります。

  

「うつ病」の事例

はじめは「うつ病」と気付かず、食欲不振で、夜も眠れないことから、内科にかかり「不安神経症」と診断された。

しかし、数か月後にメンタルクリニックで「うつ病」と診断されたケースでは、内科にかかった日が初診日とされます。
この場合は、内科で「不安神経症」と診断されたときの初診日が厚生年金の被保険者であれば、メンタルクリニックで「うつ病」と診断されたときには退職後であっても、障害厚生年金を請求できます

 ポイントは、在職時から体調不良があるなら、退職前に医療機関を受診しておくことです。 

自立支援医療

自立支援医療とは

精神科の病院又は診療所に入院しないで行われる治療(外来、投薬、デイケア、訪問看護等)の自己負担額を軽減できる制度です。 

 

精神通院医療(主に精神疾患の方が対象)について

医療費の自己負担は、通常3割負担ですが、これが自立支援医療の適用となると、基本的には1割負担になります。

さらに自立支援医療では自己負担額の上限も設けられています。基本的には1割負担となりますが、患者さんの世帯収入に応じて自己負担額には上限があり、月0円(実質負担なし)、月2500円まで、5000円まで、10000円まで、20000円まで、上限なし(医療保険の自己負担限度額が適用されます。)などの上限が設定されています。 

どのような精神疾患が対象となるか

  自立支援医療に適用される代表的な疾患としては、以下のものが多くを占めます。

  ・統合失調症、妄想性障害

  ・気分障害(うつ病、双極性障害)

  ・知的障害

  ・自閉症スペクトラム障害(アスペルガー症候群など)

  ・パーソナリティ障害

  しかしそれ以外でも、以下のもので、症状・経過によっては適用となります。

  ・認知症、高次脳機能障害など器質性精神障害

  ・アルコール・薬物などの物質使用による障害

  ・てんかん

  ・不安障害(不安神経症)

  ・摂食障害(過食症・拒食症)

 これらの疾患であればすべてが自立支援医療の適用になるわけではなく、主治医が「精神科医療を長期継続する必要がある」と判断した方に限られます。

  

自立支援医療の注意点

1⃣⃣「外来通院による精神疾患の治療のため」適用されるもの

そのため、それ以外の治療や入院医療の費用に関しては適用となりません。

2⃣⃣事前に登録した「指定自立支援医療機関」(病院、クリニック、薬局、訪問看護ステーション等)でしか利用できない

どんな病院、病名でも使えるものではありません。

3⃣⃣精神科治療以外のお薬をもらう場合はお薬のみ

しかし、「精神科のお薬」の副作用で便秘になっていてそれを改善するために下剤を投与している場合や、吐き気が生じていて、それを改善させるために胃薬を投与している場合などで、医師が判断する場合は、「精神科のお薬」ではないものでも、自立支援医療の適用となる場合があります。 

● 障害者総合支援法とは?

(目的)第一条:この法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、児童福祉法 その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。とされている。