がんで障害年金を申請する場合
人口肛門や新膀胱の造設、あるいは尿路変更術など、目に見えて身体の機能が変わった場合だけが障害年金の申請対象となるわけではないということです。抗がん剤の副作用による倦怠感(だるさ)や末梢神経障害(しびれ、痛み)、貧血、下痢、嘔吐、体重減少など、客観的にわかりにくい内部障害の場合でも、その原因ががんの治療によるものであり、日常生活や仕事に支障をきたすことが認められれば支給される可能性があります。
ガンの障害・認定要領
悪性新生物(ガン)の認定は、ガン自体で生じる特定器官の障害、全身衰弱・機能障害、抗がん剤などの治療が原因で起こる全身衰弱・機能障害が認定対象とされます。
全身衰弱や機能障害、全身倦怠感の症状とそれによる日常生活能力低下の状態を評価する尺度である「一般状態区分表」とを基に認定するとしています。
◇悪性新生物は、全身のほとんどの臓器に発生するため、現れる病状は様々であり、それによる障害も様々です。
◇悪性新生物の検査には、一般検査の他に、組織診断検査、腫瘍マーカー検査、超音波検査、X線CT検査、MRI検査、血管造影検査、内視鏡検査等があります。
◇悪性新生物による障害は、次のように区分しています。
· 悪性新生物そのもの(原発巣、転位巣を含む。)によって生じる局所の障害
· 悪性新生物そのもの(原発巣、転位巣を含む。)による全身の衰弱又は機能の障害
· 悪性新生物に対する治療の効果として起こる全身衰弱又は機能の障害
悪性新生物による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりです
◇悪性新生物そのものによるか又は悪性新生物に対する治療の結果として起こる障害の程度は、各障害の認定要領により認定する。
◇悪性新生物による障害の程度の認定例は、上記に示したとおりであるが、全身衰弱と機能障害とを区別して考えることは、悪性新生物という疾患の本質から、本来不自然なことが多く、認定に当たっては組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像診断等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。
◇転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは、相当因果関係があるものと認められる。
診断書は、 基本「その他の障害用」となります
「その他の障害用」を用いるものとしては、骨腫瘍、子宮がん、乳がん、卵巣がん、膵臓がん、直腸がん、肛門がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、悪性リンパ腫、膵臓がん、肝臓がん…など多種にわたります。
この様式を用いて、癌又はその後遺症によって日常生活がどれだけ制限を受けるかを審査し認定していきます。
がんについて申請する場合、心臓疾患や肢体障害のようにどのような検査の数値や動作の程度に該当すれば等級に該当するという目安がなく、病状を詳しく記載していかなければならず、その病状の重さが伝わるように記載してもらわなければなりません。
おおよその目安
· 行動の範囲が概ねベッド周辺に限られている場合は1級
· 自力での外出が困難な為、家の中での生活が限度の場合は2級
· 労働が軽作業程度に限られている場合は3級
また自覚症状がどれだけあるか、また、どの程度かも重要です。易疲労感、動悸、息切れ、発熱、関節症状、易感染症、日常どのように過ごしているかなどを医師に伝え、また病気の症状についての検査データ等の他覚所見等など癌による症状をすべて記入してもらう必要があります。