障害年金申請のポイント

障害年金は、ほぼ全ての病気やケガが対象になっています。しかし、請求までは何度も行政相談窓口(市役所や年金事務所等)に行かなければなりません。また、申請書類の書き方一つで結果が変わることもあります。障害年金の申請は、実務経験豊富な社会保険労務士にお任せください。

ポイント1(診断書の作成)

1⃣障害年金の申請には、医師の作成する診断書が、大きな鍵を握っています

そこで、医師に診断書を依頼するときに注意しておく事項について、解説します。

障害年金の診断書様式は現在8種類あり、診断書は様式番号ではなく、機能障害のある身体部位名が点けられているため(眼の障害、肢体の障害等々)病名で診断書が決められるのが通常です。

日常生活での症状や支障等を認定医等へ正しく伝えるためには、適切な診断書様式の選択が重要です。例えば、発症の少ない「難病」では「その他障害」の様式が一般的に使われますが、「その他」ではなく機能低下が顕著な部位の診断書様式(例えば肢体の障害用)での請求が認定上有利となる場合があります。逆に、肢体障害用ではなく、その他障害がより相応しいケースもあるでしょう。認定上診断書が重要だからこそ、提出する診断書様式も事前に検討することが重要です。

 

2⃣ 主治医とのコミュニケーションが大事です

上手く説明できなくても障害年金を受給したいことを誠実に話されることが重要なのではないでしょうか。先生の理解と協力なしには適切な診断書はできないのですから。窓口に診断書の用紙を渡すだけの「丸投げ」は避けるべきです。

主治医に診断書作成を拒まれた場合、その理由を確認することです。納得できない場合は、ご自身の状態が認定基準の等級に該当するのかをご家族など親しい方の意見をお聞きになられたり、障害年金専門の社会保険労務士に相談されることをお勧めします。

 

3⃣主治医に診断書を作成してもらったら、まずはその内容を確認しましょう

主治医は医学の専門家ですが、障害年金の診断書作成を苦手とする方も多いようです。そして、多忙でその他の書類作成も非常に多く、誤記等も見受けられます。誤字等含めて、現症日付けや発病日、初診日欄の確認根拠の明記等の不備があると年金事務所では受理されないことになりますから確認必須項目です。何度も年金事務所や病院を往復することになります。(誤字等には作成医の訂正㊞が必要)

「診断書の内容・評価が自分とは違いすぎる。」と思われるときは主治医に確認されるのが良いでしょう。主治医もあなたの生活を全てご存知ではないでしょうし、逆にあなたは重症だと思っても主治医の見解と相違することもあり得ます。まずはコミュニケーションが大切です。障害年金の診断書だけでなく、現状、今後の治療などについて理解を深めることは決して無駄な時間ではないはずです。

ポイント2(診断書のチェック)

(1)診断書に係る「診断書の作成年月日」、「医療機関の名称及び所在地」、「診療担当科名、医師の氏名及び押印」の記入

漏れがないようにします。

(2)診断書の氏名欄から計測欄までの欄は漏れなく記入する必要があります。

(3)「障害の状態」の欄について

①赤字で印刷された欄の日付に記入漏れがないか確認します。

 現症年月日は、「障害認定日請求」の場合、障害認定日より3カ月以内の現症で作成します。また、「事後重症請求」の場

合、請求時点から3カ月以内の現症日で作成します。

⓶一般状態区分表に日付記入や該当項目に〇で囲みます。

③障害の状態欄での臨床所見、検査所見、諸検査、その他の項目に記載漏れがあってはいけません。なお、審査に関係ない項目には斜線を入れます。

(4)「日常の生活能力・労働能力」の欄は、審査で大変重要です。

  日常生活はどのような状況か、どの程度の労働ができるのかが記載されていなければいけません。

(5)「予後」の欄は、必ず記入が必要です。

ポイント3(精神疾患の診断書のチェック)

診断書はこの部分をチェックしましょう

◆表面について

精神の障害用の診断書を例にとって説明しますと、まず表面の一番上の二行に氏名、生年月日、住所の記載欄があります。この部分に誤りがないかどうかを確認しましょう。

 

次に重要な部分は診断書表面の上の方にあるのために初めて医師の診療を受けた日」の日付と日付の横にある「診療録で確認」「本人の申し立て」「年月日」についての記載です。

 

このの日付については、診断書の作成病院と初診日の病院が違う場合には、初診の病院が作成した受診状況等証明書の初診日の日付と同じ日付になっていなければなりません。よくある間違いで現在受診している病院の初診日が記載されてしまうことです。

現在受診している病院の初診日と最初に病院を受診した日(欄に記載する「初診日」)とは違うことが多々あります。

 

さらに、「診療録で確認」または「本人の申し立て」のどちらかに丸印がなければならず、「本人の申し立て」に丸印がある場合にはその下の「年月日」に申し立ての日付の記載が必要となります。

次に、欄の発病から現在までの病歴及び治療の経過、内容就学、就労状況と期間その他の参考となる事項」欄の上にある陳述者の氏名、請求人との続柄、聴取年月日についての記載漏れがないかを確認します。本人以外の親族(親)からの聞き取りの場合、続柄が記載されていないケース、フルネームで記載されていないケースなどが散見されます。また、聴取年月日について記載漏れがある場合が多くあります。 

さらに、欄の記載内容と聴取年月日に矛盾がある場合もあります。例えば、聴取年月日が平成28年7月20日になっているにもかかわらず、診断書に平成29年の病状について記載がされている場合は、聴取年月日に誤り(矛盾)があるとみなされます(平成29年の病状については、平成28年7月20日には聴取することはできないからです)。

 

欄の診断書作成医療機関における初診時所見の欄」と「欄の障害の状態の欄」の赤い字で記載されている年月日の欄は、必ず記載していなければなりませんので、この部分に日付の記載がなされているかどうかを確認しなければいけません。

 

◆裏面について

裏面の-2日常生活能力の判定の部分は、障害年金を受給するに当たって大変重要な部分になります。

1)適切な食事から(7)社会性までの7項目がそれぞれ4段階にわかれてチェック欄があります。4段階のチェック欄は右に行くほど重い病状になります。

 

このチェックにも一定の基準がありますが、いずれにしてもご自身の病気がいかに日常生活に支障が生じているかについて、診断書のこの部分に反映されていなければいけません。

もし、担当の医師が作成した診断書の当該項目のチェックが現実の病状と比べて軽く書かれている場合は、担当医に相談して変更してもらう必要があります。

 

裏面の-3日常生活能力の程度の欄も障害年金用の診断書の中で大変重要な部分になります。

こちらは「精神障害の欄」と「知的障害の欄」とに分かれていますので、どちらかの欄にチェックを入れなければいけません。こちらの欄は15までの5段階に分けて丸をすることになっています。この部分に関しても担当医が〇を付けた病状と現在のご自身の病状を比較してみて、もし実際の病状よりも軽い部分に〇がされている場合には、担当医と相談する必要があります。 

 

裏面の下の方に欄~がありますが、このうち、(必ず記入してください。)と記載されている欄と欄は必ず担当医に記載してもらわなければなりません。まれにこの欄が空欄になっている場合がありますので注意が必要です。

 

欄は現時点での日常生活能力及び労働能力について記載する欄ですが、二つの能力(日常生活能力・労働能力)は、障害年金の審査で大変重要な項目となります。

このため、医師が記載したこれら生活能力と労働能力については、ご自身でもよく確認しもし実態と異なるような記載がされている場合には、担当医師と相談する必要があります。

 

欄の予後に関しては、今後病気が回復改善していく可能性があるのか、それともあまり回復改善する可能性や見込みがないかについて記載する欄です。 担当医師にとっても当該欄を記入することは難しい場合もありますが、多くは「不明」「予後不良」や「回復する見込みはあまりない。」などと記載されます。

障害年金は現在の病状だけではなく、少なくとも今後1年の病気の回復、改善可能性も加味しながら支給すべきかどうかが審査されますので、その点を考えますとこの欄「予後」についても診断書の中では重要な部分といえます。

ポイント4(病歴・就労状況等申立書)

病歴・就労状況等申立書は、請求者ご自身の状態を 「自分の言葉で伝えることができる」唯一の書類です。

 しかし、傷病の程度を必要以上に重く見せようとして、医師の作成した診断書の内容と矛盾するような記載があると、かえってマイナスになる場合があります。ここで、病歴・就労状況等申立書を作成するときのポイントをご説明します。

 

1⃣複数の障害がある場合は、障害ごとに作成する

例えば、うつ病と脳卒中を併発しているなど、複数の障害があるときには、それぞれ診断書を徴取し、障害ごとに病歴・就労状況等申立書を作成する必要があります。

ただし、複数の障害があっても相当因果関係のある場合は1枚の申立書で大丈夫ですが、詳細は、年金事務所と協議する必要があります。  

 

2⃣診断書等と矛盾がないように作成する

病歴・就労状況等申立書の作成における最大のポイントは、診断書等と矛盾のない記載内容であることです。

医療機関名、病名、治療期間、症状、受診経過、日常生活能力などを総合的に判断して障害年金は認定されます。例えば、診断書に記載された日常生活での困難さの程度と申立書の内容が異なるなど、矛盾していては書類の信頼性を疑われ、審査ではマイナスとなってしまいます。必ず、診断書との整合性を保ちましょう。 

  

3⃣通院していない期間がある場合

通院していない期間がある場合には、なぜ病院に通っていなかったのか(病気が軽快した・経済的理由など)を問われますので、中断の理由が、医師の判断なのか、自己判断なのか、その間の日常生活、就労状況や服薬など、中断期間中の状況は意識して具体的に書くことが重要です。特に、事後重症やはじめて2級による障害年金を請求するときには、障害の治療経過・中断事由というのは大きな意味を持ちます

 

4⃣「その他日常生活で不便に感じたことがあれば記入してください」欄

障害年金の等級を判断するにあたっては、日常生活での困難さの程度が重要視されます。

この欄は、審査に影響があるので、概要ではなく別紙(申立書を作成する)に詳細かつ具体的に記入することをお勧めします。 

 

5⃣書き切れなければ追加できる
長期にわたる病歴や転医を繰り返している人、病名が変わった人や就労状況や日常生活状況の変動が大きい人などは、申立書に自分の状況を書ききれない場合があります。そんなときは、次紙がありますので、こちら利用して必要なことを記載しましょう。なお、記入する期間は、3年から5年位を目安にしてください。  

 

6⃣具体的な数字を記入すること

障害年金の審査は、書類審査となっています。そこで、審査する人(認定医)に障害の状態を理解してもらうには、抽象的な表現ではなく、できるだけ数字を記入するなど具体的な記述をすることが非常に重要です。

例えば、下肢に障害がある場合、歩行するのが困難です。ではなく、右足を引きずりながら5m位歩くのがやっとです。とか、右手に麻痺が残り、箸が持てないので、スプーンを左手で持って食事をしていますが、障害前は15分位で食事ができたのが、現在では、家族の支援を受けながら30分位かかります。など具体的に記入することがポイントになります

  

7⃣第三者のチェックが必要
この書類の作成には、経験と一定の知識が必要なので、自分の主観で申立書を書いても不適切な書類ができあがる可能性があります。(生活に困窮していることなどいくら記載しても無駄です)
できれば障害年金専門の社会保険労務士に内容をチェックしてもらうか、申立書の作成自体をお願いしましょう。それが難しい場合には、通院先のソーシャルワーカーなど第三者に客観的に見てもらい、診断書等と矛盾がないかを確認してもらいましょう。

これ以外にも、病歴・就労状況等申立書の作成には、期間を切れ目なく記入するとか、ページが複数枚になったときには割り印が必要など細かいル-ルがありますので、注意が必要です。