障害年金の受給要件

障害年金の受給要件は、次のいずれにも該当することが必要です。

◎国民年金、厚生年金に加入期間中(または20歳前の年金に未加入である期間中)に初診日があること。

◎初診日において、一定の保険料納付要件(どれだけ滞納せずに保険料を納めたか)を満たしていること。

 ただし、20歳前の病気やケガにより障害の状態になった方については、保険料納付要件は問われません。

障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過した日、またはそれ以前に治った日)において、1級または2級(厚生年金は3級)

 の障害状態に該当すること。

1⃣初診日要件

初診日とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師(以下「医師等」という)の診療を受けた日をいいます。整骨院、ほねつぎ、鍼灸院等は初診日として認められません。

障害年金の初診日は、初診日にどの年金制度に加入していたかにより受給できる障害年金が異なったり、初診日の前日において保険料納付要件を満たしているかどうかを判断したりと、障害年金の請求において重要な意義をもっています。 

障害年金における初診日は、具体的には次のような考え方をもって判断されます。

初めて診療を受けた日(治療行為または療養に関する指示があった日)   ※その傷病に関する診療科や専門医でなくともよい⇒内科で作成した受診状況等証明書の診断名が「急性気管支炎」ということであれば、「うつ病」との関連性は認められませんが、仮に「不眠症」と診断がなされていたような場合は、「うつ病」との関連性が十分あるのではないか、ということになります。つまり、初診日証明としての「受診状況等証明書」にどのような記載がなされるかによって、初診日の特定が大きく影響を受けることになります。

 

同一傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日。

同一傷病で傷病が治ゆし、再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日。

傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象

 傷病の初診日。

じん肺症(じん肺結核を含む)については、じん肺と診断された日。

障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日。

先天性の知的障害(精神遅滞)は出生日。

●発達障害(アスペルガー症候群や高機能自閉症など)は、自覚症状があって初めて診察を受けた日が初診日。

先天性心疾患、網膜色素変性症などは、具体的な症状が出現し、初めて診療を受けた日。

●先天性股関節脱臼は、完全脱臼したまま生育した場合は出生日が初診日となり、青年期以降になって変形性股関節症が発症

 した場合は、発症後に初めて診療を受けた日。

起因する疾病があっても社会的治ゆが認められる場合は、その後に初めて医師の診療を受けた日。

  

過去の傷病が治ゆしたのち再び同一傷病が発症した場合は、再発として過去の傷病とは別傷病としますが、治ゆしたと認められない場合は、傷病が継続しているとみて同一傷病として取扱います。


(1)健康診断を受けた日(健診日)は、原則初診日として取扱いません。
  ただし、 初診時(1番最初に受診した医療機関)の医師の証明が添付できない場合であって、医学的見地からただちに治療が必
要と認められる健診結果である場合については、請求者から健診日を初診日とするよう申立てがあれば、健診日を証明する資料(人間ドックの結果など)を求めたうえで、初診日を認めることができるとされています。

  障害年金の請求において、前の疾病または負傷がなかったならば後の疾病(通常、負傷は含まれない)が起こらなかったであろうと認められる場合は、相当因果関係ありとみて前後の傷病は同一傷病として取り扱われます。

 

(2)相当因果関係ありとして取り扱われるもの

糖尿病糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性壊疸(糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症)は、相当因果関係

 ありとして取り扱います。

糸球体腎炎ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、慢性腎炎に罹患し、その後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が

 長いのであっても、相当因果関係ありとして取り扱います。

肝炎と肝硬変は、相当因果関係ありとして取り扱います。

結核の化学療法による副作用として聴力障害を生じた場合は、相当因果関係ありとして取り扱われます。

手術等による輸血により肝炎を併発した場合は、相当因果関係ありとして取り扱います。

ステロイドの投薬による副作用で大腿骨頭壊死が生じたことが明らかな場合には、相当因果関係ありとして取り扱います。

事故または脳血管疾患による精神障害がある場合は、相当因果関係ありとして取り扱います。

肺疾患に罹患し手術を行い、その後、呼吸不全を生じたものは、肺手術と呼吸不全発生までの期間が長いものであっても、

 相因果関係ありとして取り扱います。

転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは、相当因果関係あり

 とて取り扱うなど。

 

(3)相当因果関係なしとして取り扱われるもの

高血圧脳内出血または脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱う。

糖尿病脳内出血または脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱う。

近視と黄斑部変性、網膜剥離又は視神経萎縮は、相当因果関係なしとして取り扱うなど。

 医学的には、高血圧と脳出血は「因果関係」がありますが、障害認定基準における「相当因果関係」はなしとされます。 

初診日が確認できる書類が添付できない場合

受診状況等証明書が添付できない申立書とは

初診日が5年以上前であったために初診の病院でのカルテ情報が破棄されていたり、病院そのものがなくなってしまったりしている場合など、何らかの理由で初診を受けた病院での受診状況等証明書を取得が出来ないことがあります。その場合は、この「受診状況等証明書が添付できない申立書」を請求時に添付します。しかし、この書類を準備したからといって、初診日が書類通り認められるわけではなく、初診日を証明する証拠が何もない場合には「初診日が確認できないため不支給」となってしまいます。

客観的に初診日の証拠となる資料を用意する

日本年金機構では、最初の病院で証明が取れない場合には、請求者の状況に応じ、幅広い資料を参照しながら、客観的に初診日を判断することとしています。

    

具体的には以下の資料を参照します。

  

1.2番目以降に診療を受けた医療機関による証明

2.紹介状(診療情報提供書)

3.身体障害者手帳等の申請時の診断書

4.身体障害者手帳

5.医療機関の受付簿等

6.医療機関発行の診察券

7.20歳前の受診が確認できる場合

   

 なお、次のものも参考資料として取り扱うこととされています。

 

 ●交通事故証明書

 ●インフォームド・コンセントによる医療情報サマリー

 ●身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳

 ●身体障害者手帳等の申請時の診断書

 ●生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書

 ●事業所等の健康診断の記録

 ●母子健康手帳

 ●健康保険の給付記録(レセプトも含む)

 ●お薬手帳・糖尿病手帳・領収書・診察券(可能な限り診察日や診療科が分かるもの)

 ●小学校・中学校等の在学証明・卒業証書

 ●盲学校・ろう学校の在学証明・卒業証書

 ●第三者証明

 ●その他

2⃣保険料納付要件

障害年金を受けるためには、初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていること(保険料納付要件)が必要です。

 (1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること

保険料を納めた期間(第3号被保険者期間も含む)

保険料を免除された期間

学生納付特例又は若年者納付猶予の対象期間

 これは、これまでの加入期間のうち3分の1を超える保険料の未納がないということです。

(2)初診日において65歳未満であり、初診日が平成38年3月31日までにある場合、初診日の前々月までの直近の1年間に保険料の未納期間がないこと。のいずれかの期間で満たされていることが必要です。

なお、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。

「初診日の前日において」とは?

納付要件は「初診日前日の年金保険料納付記録がどうだったか?」で見ます。そのため、初診日当日にあわてて納めたり、免除や猶予の手続きをしても手遅れです。公的年金も保険制度(負担と給付の関係)であり、「それまで保険料を納めてきた⇒保険事故が起きた⇒保険金を請求できる」ということになります。

3⃣障害認定日

障害認定日とは、原則として初診日から起算して16ヶ月を経過し、本来の障害の認定を行うべき日のことをいいますが、16ヶ月以内に症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った場合は、その日が障害認定日となります。

障害年金の受給申請は、障害認定日以降でないと行えません。 

20歳前の傷病による障害基礎年金

20歳前障害による請求とは、20歳前の年金に未加入であった期間に初診日のある傷病により一定の障害の状態にある方が、20歳に達した日(障害認定日が20歳以後の場合はその障害認定日の時点)に障害等級の2級以上に該当する場合に請求することができます。(請求できるのは20歳に達した日以降で、障害基礎年金となります) 

診断書

原則として20歳に達した日の前後3ヶ月以内の診断書(障害認定日が20歳以後の場合は障害認定日から3ヶ月以内の診断書)が必要になります。

受給権の発生

20歳に達した日(障害認定日が20歳以後の場合は障害認定日)となります。なお、障害年金の支給は20歳に達した日(障害認定日が20歳以後の場合は障害認定日)の翌月分からとなります。

保険料納付要件

問われません。

 


なお、障害認定日において一定の障害の状態に該当しなかった場合(障害認定日時点の診断書を取得することができなかった場合も含む)であっても、65歳に達する日の前日までの間に該当するに至った場合は、事後重症による請求が可能となります。

  ただし、老齢基礎年金の繰上受給により既に年金を受けている人は、事後重症による請求はできません。

  

障害基礎年金(20歳前障害)の所得制限

所得制限の根拠は、国民年金法第30条の4。

障害基礎年金の支給を受ける権利がある人の前年の所得が、「所得税法に規定される控除対象配偶者や扶養親族の数(障害者本人単身、という場合も含みます)に応じて政令で定められた額」を超えると、その年の8月分から翌月の7月分までの1年間に亘り、全額または2分の1支給停止になります。扶養親族が無い人の所得制限は、半額停止が3,604,000円、全額停止が4,621,000円です。

   

その他の制限

  所得制限に加え以下の場合も支給停止になります。

    恩給法による年金をもらっている場合

労働者災害補償保険法(労災法)による年金をもらっている場合
その他の公的年金制度による年金をもらっている場合
監獄、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき
少年院その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき
日本国内に住所を有しないとき
 


4⃣障害認定基準

障害年金の種類

障害年金には、主に障害基礎年金障害厚生年金2種類の年金があります。これは、障害発症の原因となった病気・ケガなどの初診時に加入していた年金の種類が、国民年金であったか、厚生年金であったかによって、該当する障害年金の種類が決定します。

 障害基礎年金

 国民年金に加入している間に初診日(障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師の診断を受けた日)がある病気やケガにより、法令により定められた障害等級表(1級・2級)による障害の状態にある間受給できる年金です。受給するには、20歳前障害を除き保険料納付要件が問われます。

 障害厚生年金

 厚生年金に加入している間に初診日のある病気やケガにより、法令により定められた障害等級(1級~3級)に該当する障害の状態にある間に、国民年金から支給される障害基礎年金に加えて受給できる年金です。(3級は障害厚生年金のみ。) 受給するには、保険料納付要件が問われます。

 障害手当金

初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害(3級より軽い障害)が残った場合に受給できる一時金です。受給するには、保険料納付要件が問われます。

障害等級表について

等級

 

 障害の程度

1級

 1

 両眼の視力の和が0.04以下のもの

 2

 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの

 3

 両上肢の機能に著しい障害を有するもの

 4

 両上肢のすべての指を欠くもの

 5

 両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの

 6

 両下肢の機能に著しい障害を有するもの

 7

nbsp;両下肢を足関節以上で欠くもの

 8

 体幹の機能に座つていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの

 9

  前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であつて、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

 10

 精神の障害であつて、前各号と同程度以上と認められる程度のもの

 11

 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であつて、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

  

 

等級 

 

障害の程度 

2級

 

 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの

 

 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの

 

 平衡機能に著しい障害を有するもの

 

 そしやくの機能を欠くもの

 

 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの

 

 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの

 

 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの

 

 一上肢の機能に著しい障害を有するもの

 

 一上肢のすべての指を欠くもの

 10

 一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの

 11

 両下肢のすべての指を欠くもの

 12

 一下肢の機能に著しい障害を有するもの

 13

 一下肢を足関節以上で欠くもの

 14

 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの

 15

 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であつて、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

 16

 精神の障害であつて、前各号と同程度以上と認められる程度のもの

 17

 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であつて、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

       

  

 

等級

 

障害の程度 

3級

 

 両眼の視力が0.1以下に減じたもの

 

 両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの

 

 そしやく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの

 

 脊柱の機能に著しい障害を残すもの

 

 一上肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの

 

 一下肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの

 

 長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの

 

 一上肢のおや指及びひとさし指を失つたもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ一上肢の三指以上を失つたもの

 

 おや指及びひとさし指を併せ一上肢の四指の用を廃したもの

 10

 一下肢をリスフラン関節以上で失つたもの

 11

 両下肢の十趾の用を廃したもの 

 12

 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

 13

 精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

 14

 傷病が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであつて、厚生労働大臣が定めるもの 

  

 

等級 

 

障害の程度 

障害手当金

 両眼の視力が0.6以下に減じたもの

 

 一眼の視力が0.1以下に減じたもの

 

 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

 

 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの

 

 両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの

 

 一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの

 

 そしやく又は言語の機能に障害を残すもの

 

 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの

 

 脊柱の機能に障害を残すもの

 10

 一上肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障害を残すもの

 11

 一下肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障害を残すもの

 12

 一下肢を3センチメートル以上短縮したもの

 13

 長管状骨に著しい転位変形を残すもの

 14

 一上肢の二指以上を失つたもの

 15

 一上肢のひとさし指を失つたもの

 16

 一上肢の三指以上の用を廃したもの

 17

 ひとさし指を併せ一上肢の二指の用を廃したもの

 18

 一上肢のおや指の用を廃したもの 

 19

 一下肢の第一趾又は他の四趾以上を失つたもの

 20

 一下肢の五趾の用を廃したもの

 21

 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

 22

 精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

  

備 考

1. 視力の測定は、万国式試視力表によるものとし、屈折異常があるものについては、矯正視力によって測定する。

2. 指を失ったものとは、おや指は指節間関節、その他の指は近位指節間関節以上を失ったものをいう。

3. 指の用を廃したものとは、指の末節の半分以上を失い、または中手指節関節若しくは近位指節間関節(おや指にあっては

 指節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう。

4. 趾を失ったものとは、その全部を失ったものをいう。

5. 趾の用を廃したものとは、第一趾は末節の半分以上、その他の趾は遠位趾節間関節以上を失ったもの又は中足趾節関節若

 しくは近位趾節間関節(第一趾にあっては趾節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう。